ナビゲーションシステムによる人工関節手術 | 谷川記念病院

ナビゲーションシステムによる人工関節手術

ナビゲーションシステムによる人工関節手術

ナビゲーションシステムによる手術

ナビゲーションシステムによって手術をサポートする方法は、以前から一部の病院で導入されていました。 しかし、従来のナビゲーションシステムでは、骨の位置情報を読み取るセンサーを設置する為に膝関節周囲の骨に大きなピンを挿す必要がありました。 場合によってはそのピンを挿したことが骨折の原因となることもありました。
また、医師が術野とナビゲーション画面とを交互に確認しながら手術をする必要がある為、手術時間が延長し患者さんの体への負担が大きくなるといった課題がありました。
機械も大型で、導入のためのコストも高く、資金面と手術室のスペースの面から、大学病院など一部の限られた施設でしか使用されていませんでした。
今回導入(KneeAlign2)のナビゲーションシステムでは、正確でより安全な手術によって患者さんのQOL(生活の質)を向上させる技術が、より多くの施設で利用可能になることが期待されます。

「KneeAlign2」による人工膝関節設置の精度

人工膝関節の設置は、大腿骨頭―膝関節―足関節それぞれの中心点を結んだ機能軸に対して3°以内が良いとされ、これは長期の臨床成績に影響すると報告されています3。
人工関節設置の正確性を従来のナビゲーションシステム(CAS)と比較した研究結果4によると、「KneeAlign2」を用いて手術された症例のうち94.9%は、 大腿骨側では機能軸に対してニュートラルな状態から2°以内に位置合わせできており、従来のナビゲーションシステムを用いた症例では92.5% でした。 下肢全体の位置合わせに関しても大きな違いがみられ、「KneeAlign2」を用いた患者の92.5%は機能軸に対してニュートラルな位置から3°以内であり、従来のナビゲーションシステムを用いた患者は 86.3%と1、 従来のナビゲーションシステムと同等の正確性が報告されています。

高齢化に伴う介護予防・高齢者のQOL向上に、更なる普及が期待される人工関節置換術

人工関節置換術は、変形性関節症をはじめとする膝や股関節の痛みに対する治療のために関節を人工物に置き換える手術です。 関節の痛みは要介護になってしまうきっかけとなるため、高齢化社会では特に対策が重要視されていますが、その抜本的治療法は現時点では手術しかありません。

日本では現在、年間約7万5千人(2012年)が人工膝関節置換術を受けており、10年前より約2倍に増えています。 しかしながら、主な原因疾患である変形性膝関節症の国内の潜在的な患者数(X線診断による有病者数)は、約2,530万人と推定(*)されており、 多くの方が手術を避けて痛みを我慢しています。手術による体への負担が減り、少しでも受けやすい手術へと進化していくことが、人工膝関節置換術の普及に繋がります。

人工関節置換術について

ナビゲーションシステムを用いた人工関節置換術について
人工関節とは長年にわたって使用した関節の表面を覆っている軟骨が摩耗し、骨同士がこすれて痛みが出現したために生活が困難となった患者様に対して行う手術です。
現在、人工関節手術は世界的に標準的治療法として広く普及しており、安定した長期成績をおさめる手術法となっています。
30年以上前から始まった国内における人工関節手術件数も右肩上がりで増加しており、人工膝関節置換術は年間8万例、人工股関節置換術は年間5万例も行われています。
将来、軟骨再生医療の実用化の可能性も予想されますが、標準的な治療としてまだまだ人工関節の需要は減らないと思われます。
手術は手術前のレントゲン・傷んだ骨・軟骨を全てきれいに取り除き、人工関節をその代わりに固定します。骨同士がこすれなくなる為に痛みは大幅に軽減され、日常生活を楽に行う事が出来るようになることが期待できます。
当院では主に膝関節・股関節に対して人工関節置換術を行っております。手術の計画(インプラントのサイズや、骨をどのように切るべきなのかを手術前に決定すること)はもちろん行いますが、手術中にナビゲーションシステムを用い、計画の通りに手術が行われているかを確認しながら手術を行います。ナビゲーションシステムはあくまでも支援システムですが、人為的なエラーを減少させ、より正確で安全な手術を行うことができ、長期成績もよくすることが出来るのではないかと考えています。