痔 | 谷川記念病院

痔について

痔とは、肛門や肛門周辺に起こる病気のことで、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろうの3種類が三大疾患とされています。
痔核は患部の位置によってさらに、内痔核と外痔核に分けられます。

肛門の構造

初期の胎児の肛門には穴が開いておらず、子宮内で成長するにつれ、口の方から下がってきた腸と、お尻からくぼんできた皮膚が繋がり、一本の通り道となり肛門ができます。
肛門の長さは3cmほどで、その繋がった接合部は歯のようにギザギザしている事から歯状線と呼ばれ、肛門のふちから約1.5cm奥にあります。
また肛門内側と出口付近には静脈叢と呼ばれる毛細血管が多く集まった部分があります。
歯状線より上側の直腸粘膜の静脈叢周辺は痛みを感じる神経が通っておらず、ほとんど痛みを感じません。歯状線の下側のお尻の皮膚に近い部分は痛みを感じる神経が通っており、痛みを敏感に感じます。

歯状線
直腸と肛門の境目
肛門陰窩
歯状線にあるくぼみ。痔ろうの原因になります。
括約筋
直腸と肛門の周りを取り囲み、肛門を閉じる働きをする筋肉。内括約筋と外括約筋があり、内括約筋は無意識で働き、直腸に便が送られると自然に排便の準備をします。
外括約筋は自分の意思で緩めたり締めたりする事が出来ます。
肛門のクッション
網目状に広がった血管があり(静脈叢)、弾力性に富んだ部位。肛門をクッションの様に保護し、肛門をピタリと閉じる役割ももっています。

痔の種類

痔核(いぼ痔)

痔の中でもっとも多く、患者の半分以上を占めます。
その名の通り、肛門にいぼ状の腫れができたものをいいます。
歯状線より内側(直腸側)のクッションに出来たものを内痔核、歯状線より外側(肛門側)のクッションに出来たものを外痔核といいます。

― 内痔核 ―

原因
排便時のいきみ、便秘、下痢など肛門部に負荷がかかる事で直腸肛門部の血液の循環が悪くなりうっ血が生じ、肛門のクッションが緩んで、いぼ状に膨らみます。
症状
排便時の出血。残便感。肛門からいぼが出ている。通常、痛みは無い。

― 外痔核 ―

原因
排便時のいきみ、便秘、下痢や重いものを持ったりなど肛門部に負荷がかかる事で起こる。
症状
痛みがある。大きく腫れると激しく痛む。

裂肛(切れ痔)

歯状線より外側の肛門上皮が裂け、激しい痛みを伴ったりもします。
 切れ痔は女性に多いといわれます。

原因
便秘による硬い便の排泄や、下痢便の強い勢いなどで、肛門の出口にある肛門上皮が裂け、切れ痔になります。
症状
出血は少量。排便時の強い痛み。排便後もしばらく痛みが続く事もある。

痔ろう

歯状線のくぼみにある肛門陰窩に、下痢などによって大腸菌などの細菌が入り込むと肛門腺が化膿し、その炎症が肛門周囲に広がり膿が溜まります。(肛門周囲腫瘍)。
この状態が繰り返されることによって、細菌の入口と膿が皮膚を破って流れ出る部分まで、一本のトンネルの様に貫通します。この状態を痔ろうといいます。
痔ろうは男性に多いといわれています。

原因
激しい下痢などで細菌が肛門腺に入り込んだ際、ストレスや過労など身体の抵抗力が弱まっていると、感染を防げずに化膿し(肛門周囲腫瘍)、状態が続くと痔ろうになります。
症状
38~39℃の発熱。肛門の周囲が腫れて、激しい痛みを伴う。
痔ろうにまで至ると膿が出て下着が汚れます。また手術が必要になります。

痔核(いぼ痔)の治療法

内痔核の治療法では、程度によって四段階に分けられ適切な治療法を選択します。

分類

  • Ⅰ度 痔核の脱出は無い。痛みは無く排便時に鮮血を出血する事が多い。
  • Ⅱ度 排便時に脱出するが、自然に肛門内に戻る。出血があり痛みも出てくる。
  • Ⅲ度 排便時に脱出し、指で押し込まないと戻らない。出血があり痛みも出てくる。
  • Ⅳ度 排便時以外でも脱出している。指で押し込んでも戻らない。粘液が滲みだす。

治療法

保存療法、薬物療法
規則正しい排便習慣や食生活や生活習慣の改善と薬物療法(外用薬と内服薬の使用)を行います。保存療法を行っても、改善がみられなく、日常生活に支障をきたす場合は手術を行うこともあります。
結紮切除術
切除する痔核の周囲をメスや剪刀を用いて痔核全体の剥離を行ったあと、痔核に血液を送っている血管の根本から医療用の糸で縛り、切除する手術です。
切除した傷の部分は半分だけ縫合し、外側は縫合せずに開けておく方法(半閉鎖法)で行います。
ALTA(ジオン)注射
内痔核に対して、ALTA(製品名:ジオン)を注射する事で、血管を硬化させ血流を遮断させる作用と、炎症を起こし組織を癒着固定させる作用が働き、痔核部分が硬化、縮小します。
ALTA(ジオン)注射は四段階注射法といって、痔核に対し4か所に分けて注射します。
高度な技術が必要である為に講習を受けた医師のみが行える手術です。
内痔核の分類のⅡ度からⅢ度の前半が適応となります。

痔ろうの治療法

一度出来てしまった痔ろうは生活改善や薬では治らないので手術が必要になってきます。

治療法

切開開放術
痔ろうのトンネルである、ろう管を切開して、そのまま縫合せずに開放する手術です。
再発がほとんどみられない手術です。
一般的には括約筋の影響が少ない肛門後方部にできた痔ろうに対して行います。
シートン法
ろう管に医療用のゴム紐を通して縛り、ゴムが縮む力を利用しながら時間をかけて痔ろうを切っていく方法です。発生場所によって異なりますが、ゆっくりと切開していくので(3ヶ月半~半年)切開されたところは、また徐々に修復されていきます。

痔といっても様々な種類があります。出血をともなう場合は大腸がんなどの重大な病気が起こっている可能性があります。
肛門や排便時に気になる症状がありましたら、できるだけの早期の受診をおすすめします。